ミャンマーコーヒーとは? まだ知られていない産地、その現在地
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「ミャンマーでも、コーヒーを作っているんですか?」
私たちがミャンマー産のコーヒーを紹介していると、今でもよく聞かれる言葉です。
エチオピア、ケニア、コロンビア、ブラジル。コーヒーの産地として知られる国々と比べれば、ミャンマーの名前をコーヒーと結びつける人は、まだそれほど多くないかもしれません。
けれど実は、ミャンマーには100年以上にわたるコーヒー栽培の歴史があります。
そして特に2010年代半ば以降、品質評価や精製技術の向上、海外市場との接点が増えたことで、その山岳地帯から生まれる個性豊かなスペシャルティコーヒーが、少しずつ世界へ知られるようになりました。

ミャンマーのコーヒーは、いつから始まった?
ミャンマーでコーヒー栽培が始まったのは、19世紀後半とされています。
記録によれば、1885年には宣教師らによって、南部のミェイクやダウェイなどでコーヒー栽培が始められました。
その後1930年頃になると、南・北シャン州や、現在のマンダレー地方域にあるピンウールイン周辺でアラビカ種の栽培が本格的に始まります。
1935〜36年には、国内で268トンのコーヒーが生産されていたという記録も残されています。
つまり、ミャンマーのコーヒーは最近突然始まったものではありません。
長い栽培の歴史を持ちながら、世界のコーヒー市場では、これまであまり知られてこなかった産地なのです。
コーヒーを育てる、ミャンマーの山々

南北に長いミャンマーには、暑い低地だけでなく、標高1,000mを超える涼しい山岳地域が数多くあります。
現在、高地では主にアラビカ種、低地ではロブスタ種が栽培されています。
アラビカの産地として特に知られているのが、シャン州とマンダレー地方域のピンウールイン周辺です。そのほか、チン州、カチン州、カヤー州などでも栽培されています。
なかでもシャン高原には、標高の高い山々、比較的冷涼な気候、昼夜の寒暖差、そして収穫期に乾季を迎える地域があります。
コーヒーチェリーがゆっくりと成熟し、収穫したコーヒーを太陽の下で乾燥させる。
そんなコーヒーづくりに適した環境が、ミャンマーにもあります。
ミャンマーには、どんなコーヒーがある?

ミャンマーで栽培されているアラビカには、Caturra(カトゥーラ)、Catuai(カトゥアイ)、S795、Catimor(カティモール)、SL34など、さまざまな品種があります。
そして面白いのは、同じミャンマー産でも、地域や農園、品種、そして精製方法によって味わいが大きく異なることです。
ウォッシュドのクリーンなコーヒーもあれば、ナチュラルプロセスによる果実感の強いコーヒーもあります。
さらに近年は、ハニープロセスや発酵工程を工夫したロットなど、生産者によるさまざまな試みも行われるようになっています。
「ミャンマーコーヒーは、こんな味」
と一言では表せない。
それも、この産地の面白さのひとつだと思います。
「量」ではなく、「個性」が面白い産地
ミャンマーは、ブラジルやベトナムのような巨大なコーヒー生産国ではありません。
だからこそ、私たちが面白いと感じているのは、生産量ではなく、その土地ごとの違いです。
山を越え、町を変えるだけで、標高も気候も、農家の栽培方法も変わります。
さらに、収穫したチェリーをどのように選別し、発酵させ、乾燥させるのか。
その積み重ねによって、一つひとつのロットに違った表情が生まれます。
世界的にはまだ情報も流通量も多くないからこそ、これから発見されていく味が、まだたくさん残っている。
ミャンマーは、そんなコーヒー産地です。
そして、私たちがコーヒーを作る「Kalaw」へ
私たちTHITSAがコーヒーづくりの拠点としているのは、ミャンマー東部・南シャン州の山あいにある**Kalaw(カロー)**という町です。
標高1,300mを超える山々に囲まれた、涼しい土地です。
この地域でも以前からコーヒーは育てられてきました。

私たちはここで、自社農園でコーヒーを栽培するとともに、周辺の農家から収穫されたコーヒーチェリーを継続的に買い取り、選別、精製、乾燥、品質管理を行っています。
そして出来上がった生豆を、自分たちで日本へ輸入しています。
私たちにとってKalawのコーヒーは、すでに完成された有名産地の商品ではありません。
農家と一緒に栽培や収穫を考え、精製方法を試し、ときには失敗もしながら、毎年少しずつ品質をつくり上げていくコーヒーです。

まだ知られていないから、面白い。
ミャンマーには、長いコーヒー栽培の歴史があります。
けれど、世界のスペシャルティコーヒーの地図の中では、まだ小さな存在です。
そして、そのミャンマーの中でもKalawという産地について、国外で知られていることは決して多くありません。
だからこそ、私たちは面白いと思っています。
どんな土地で、どんな人たちが育て、どのように一粒のチェリーが生豆になっていくのか。
このJournalではこれから、Kalawの農園や農家、収穫、精製、品種、品質管理、そして日本へ届くまでの過程を、現地の風景とともに少しずつ紹介していきます。
まだ世界が知らない、Kalawのコーヒー。
その現在進行形の物語を、一緒に楽しんでもらえたら嬉しいです。
NEXT JOURNAL
なぜKalawなのか。
シャン高原の小さな町とコーヒー。
次回は、私たちがコーヒーを作っているKalawという土地について、もう少し詳しく紹介します。